“美味しい文章”を書くために…

 文章は、料理に似ている。「素材七分に腕三分」とは、ある著名な料理家の言葉。新鮮でよい素材があれば、料理人の腕前がそれほどでなくとも、美味しい料理ができる。反対に、料理人の腕がよくとも、素材が悪ければ旨い料理をつくるのは難しい。

 文章も同じ。大事なのは、腕前(文章力)よりも素材(書こうとする中身)だ。わかりやすい例が、読書感想文。本を読まなければ、感想文は書けない。反対に、しっかり読んで、胸いっぱいの感動や頭いっぱいの知識を仕入れたら、それを原稿にぶつければよい。たとえ、表現力や語彙に乏しくとも、相手の心を動かす文章に仕上がるはずだ。

 社会は目紛しく変化している。その移ろいを意識し、常に学ぼうとするモチベーションがあれば、いろんなところから素材を吸収することができる。新聞や本、Webはもちろん、人の話、クルマのラジオ、電車の吊り広告…。そこから「発見」や「情報」、斬新な「考え」、深い「知識」といった旬のよい素材を仕入れることが“美味しい文章”を書くための、まずは第一歩である。